2015年10月21日

ご本人がおっしゃりたいのは他のことでは…?

言葉が出にくくなってきていた
ご主人と二人暮らしの女性。
入浴や着替えの介助がご主人だけでは難しいため、訪問介護サービスをご利用されていたそうです。
ご本人様はあまりお話をされなくなり、言葉が出にくくなっていました。
ご主人やヘルパーの方とのコミュニケーションが困難になっていたそうです。
ご家族やヘルパーの方以外とも交流した方が良いと考えたケアマネジャーは、デイサービスの利用を検討。
認知症の方専門ということで、ご主人にふるさとを紹介してくださったそうです。

普段からよくお水を飲まれるご本人 送迎車でも
初めてのご利用日、お迎えに上がったスタッフがお顔を見ながらゆっくりとご挨拶をすると、
ご本人様は微笑んで、快く送迎車に乗ってくださいました。
ご主人のお話では、ご本人様は普段からよく「水ちょうだい」とおっしゃり、たくさんの水を飲まれるそう。
この日も水の入ったペットボトルをお持ちになっていました。
送迎車が走り出すとすぐに「お水を」とおっしゃいましたので、
スタッフは蓋を開けてお渡しし、飲んでいただきました。
施設に到着するまでに何度も水を飲まれ、あっという間にペットボトルは空になってしまいました。

ご利用の度に増える水の量 ご本人がおっしゃりたいのは別のこと?
施設では「お水を」とおっしゃることはなく、
スタッフと一対一でお話を楽しみながらお過ごしいただけたようでした。
しかし次の回、さらにその次の回と、ご利用の度に送迎車の中で飲まれる水の量は増えていきました。
毎回一口ずつ飲んでいただいているのですが、
小さなペットボトルだけでは足りなくなり、大きなペットボトルをお持ちになるように…。
次第に送迎車の中で、2リットル以上の水を飲まれるようになっていました。
わずかな時間での水分量としては多いのではないか、と考えたスタッフ。
もしかしたら本当は別のことをお伝えになりたいのでは、と思いはじめました。
言葉の認識が徐々に難しくなってきていることからも、
「お水」ではなく他のことを指していらっしゃることも考えられました。
そこでスタッフは、ご本人様が「お水」とおっしゃった時に、一言二言お話をしてみました。
「たくさん飲まれましたね、今日は喉が渇きますね。お天気が良いですものね」、
「施設で美味しいお茶をご用意しています。もう少しお待ちいただけますか」とお返事し、
さらに続けて、お天気についてや朝の出来事などをお話ししてみました。
するとご本人様はスタッフのお話に頷いたり微笑んだりしながら、お話を楽しんでくださいました。

ご主人も積極的にコミュニケーションを取るように
それからは、送迎車の中でスタッフは今まで以上にお話しかけるようにしました。
会話ばかりではなく一緒に歌をうたったりしながら、施設までの道のりを楽しんでいただくように。
施設と同じように送迎車の中で笑ってくださることが増えていきました。
次第に「お水」とおっしゃることが少なくなり、ペットボトルもお持ちにならなくなりました。
送迎車ではお飲みにならなくなりましたが、
一日の適切な水分摂取量を施設でしっかりととっていただくようにいたしました。
スタッフがご本人様とお話しかけているのをご覧になったご主人が、
ご自宅でたくさんお話しかけるようにしたところ、ご本人様のご表情が優しくなったそうです。
また、大量のお水を飲まれ、頻繁だったお手洗いの回数も適度になり、排泄のケアが楽になった、とのことです。
現在、施設ではスタッフの大きなジェスチャーや、ホワイトボードを使って筆談も行いながら、
ご本人様とのコミュニケーションを積極的に取らせていただいております。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内