2015年04月08日

他者との関わりがもたらしたご本人の意外な一面

身近な言葉が出なくなり お話しされなくなった
奥様と二人暮らしの男性。
ご自分のお名前や身近な物事を忘れてしまうことが増え、
言葉が出にくくなっていらっしゃったそう。
次第に全くお話しされなくなり、病院で失語症と診断されたそうです。
ケアマネジャーは、ご家庭以外で人との関わりを持った方が良いと考え、デイサービスのご利用を検討。
ふるさとを週2回ご利用いただくこととなりました。

お話しかけると身振り手振りでお返事
ご本人様は、お口を閉じたままでいらっしゃいましたが、
スタッフが顔を近くに寄せ、ゆっくりと短い言葉でお声をかけると、
身振り手振りでお返事をしてくださいました。
スタッフは隣に座り、積極的にお話しさせていただきました。
歌の時間では、皆様にゆったりとした唱歌や童謡を歌っていただくと、
ご本人様は歌詞を目で追ってくださっていました。
ふるさとではお食事前に、口周りの筋肉や、舌や喉の動きを良くする体操の時間があります。
その時間、スタッフはご本人様の隣で詩を一文字ずつ指し、
お顔を見ながらゆっくりと、大きく口を開けて行いました。

お声が出るように 徐々に発音も明瞭に
半年ほど経つと、一緒にお声を出してくださるようになりました。
はじめはそのお声も弱く息ばかりが出ていらっしゃり、口や舌も動かしにくいご様子でした。
スタッフは、ご本人様が楽に声を出せるよう前かがみだった背筋を伸ばし、
姿勢良く座っていただけるように気を付けました。
一字一字しっかりと確認するようにお口の体操を行っていくと、
徐々にお声が出るようになり、発音も少しずつハッキリとされてきました。
そのことがご本人様の自信につながったようでした。
歌の時間になると、ゆっくりとしたご本人様のペースで歌われるようになり、
次第に皆様と一緒に楽しんでくださるようになりました。

朝の会での自己紹介 奥様は「信じられない」
ご利用当初、朝の会の自己紹介ではスタッフからご本人様をご紹介させていただいておりましたが、
1年ほど経過すると、ご自分でゆっくりとお名前をおっしゃってくださるように。
また、お気に入りの歌ができ、歌詞を見ずに歌われるようになりました。
そのご様子を奥様にお伝えすると、大変驚いていらっしゃいました。
ご本人様は以前より寡黙な方でいらっしゃったそうです。
「自分から話したり歌ったりするなんて、信じられないです」と、奥様はおっしゃっています。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 川崎市内