2014年12月24日

自宅に引き籠る生活 その背景にあったご本人の不安

ご症状が進みご自宅に引き籠る生活が続いた
ご主人と長女ご家族とお住まいの女性。
物忘れなどの症状が進行し、少しずつお元気がなくなられていたそうです。
ご家族様はデイサービスを利用することを検討され、ご本人様も抵抗はなかったそうですが、
いざデイサービスの職員がお伺いすると、「行きたくない」と言われていたそう。
外出することもなくなり、ご自宅に引き籠る生活が続いていました。

スタッフを歓迎してくださったが断わられることが続いた
ケアマネジャーよりふるさとに連絡があり、スタッフがご自宅を訪問させていただきました。
ご本人様はとても穏やかなご様子で、初めてお会いしたスタッフとも和やかにお話ししてくださいました。
しかしスタッフが、「今度、会食がございますので、ご一緒にいかがですか?」とお誘いしても、
「行かない、行かない」と静かに首を振られました。
それからも3日に一度スタッフがご自宅に伺わせていただきました。
簡単なゲームなどを一緒に行うと楽しんでくださっているようでしたが、
施設へのお誘いにはお断りされてしまうことが続きました。

ご本人様が引き籠られた理由
ある日スタッフはご長女から、ご本人様はお裁縫がお好きだったことと、
道具を失くしてしまうことが増えたので、ハサミや針の使用を禁止していることを伺いました。
ご本人様は「今は、やりたくても出来なくて…」と悲しそうにおっしゃられました。
また、「○○をやったらダメ」と、ご長女に言われることが多くなり、やるせない思いを抱えていらしゃったこと、
物忘れが多くなってきたことをご自覚していらっしゃり、
ご不安を感じ、外出されなくなっていることをスタッフに打ち明けてくださいました。
次に訪問した際、ハサミと布を持参し、スタッフが必ず傍で見守ることをご家族様にお話しし、
ご本人様に使っていただくことを許可していただきました。
お渡しすると、とても喜んでくださり、その場で布を切ったりされました。
また、施設でお客様とスタッフが一緒に作ったパッチワーク作品もお持ちし、見ていただきました。
「ぜひ、ご一緒にいかがですか?」とお誘いすると、笑顔で頷いてくださいました。

「こんなに変わるとは…」他者との交流の大切さ
それから週に1回ご利用いただき、手芸をすることを楽しみに施設に来てくださいました。
ハサミや針をお使いになる際はスタッフが必ず傍に座るようにし、安心してお裁縫を楽しんでいただきました。
とても喜ばれ、様々な作品をお作りになられました。
またそれに伴い、スタッフや他のお客様とお話しされるようにもなり、みるみるうちにご表情が明るくなりました。
施設での写真をご覧になったご家族様が、
「家ではこんな笑顔を見せたことがないのに…。すごく良い顔をしています」と喜んでくださり、
「こんなに変わると思わなかったです。他人との交流は大切なんだな、と思いました」と、おっしゃられていました。
スタッフは、ご本人様の言動の背景にある心情を理解することの大切さを、改めて実感いたしました。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内