2012年12月26日

生き甲斐だった教師生活、ふるさとで再び

教師だった頃の威厳を保ち続けておられた
以前は美術の教師をなさっていた男性のお客様。
ご自身のお仕事に高い誇りをお持ちの大変威厳のある方で、特にご家族様に対して厳しく接していたそうです。
認知症を発症してから、一人で部屋に引き籠ることが多くなり、ご家族様はとても心配になりました。

そこで、ケアマネジャーに相談したところ、少しでも社会性のある生活を送れるように、
ふるさとにいらっしゃることになりました。
ところが、ふるさとにいらっしゃる当日、お支度をなさるご家族様に対して、「行く必要はない」とおっしゃり、
その日は一日中ご本人の自室に引き籠っていたそうです。

スタッフのお声かけには反応、お支度からお手伝い
その後、何度か訪問させていただくと、ご家族様のお声かけには拒否をされるのですが、
スタッフのお声かけには反応して下さるようになりました。
そこで、ご家族様に相談し、お支度からふるさとでお手伝いさせていただくことになりました。

ご本人のお話を伺うと、介護施設に行くことに抵抗感をお持ちでいらしたようです。
そのことをお聞きしてからは、「お客様」としてお誘いするのではなく、
ご本人が誇りに思っておられる「先生」としてお誘いすることにいたしました。
「絵画教室を開いていただけませんか?」
すると、「では、次から」と、にこやかな笑顔で答えてくださいました。

ふるさとで「絵画教室」を開催
最初にいらっしゃった日は、ふるさとでご用意した道具を使用して、
実際に施設のレクリエーションとして、「絵画教室」を開催いたしました。
すると、教師だった頃を思い出されたのでしょうか、他のお客様に色鉛筆の使い方を上手にお教えになっていました。
また、他のお客様も「絵画教室」を楽しく過ごしていらっしゃいました。

生きがいをふるさとで見つける
その次にお迎えに上がったときには、以前お描きになった数枚の作品を準備して、スタッフを待っていて下さいました。
そして、他のお客様にご自身の作品を楽しそうにご披露なさっていました。
その作品はとても美しく、他のお客様やスタッフはとても感動したそうです。

現在はふるさとで週2回「絵画教室」を開いていただいております。
そして、他のお客様にお教えするときの表情は、最初にお会いしたときよりも、自信に満ち溢れていらっしゃいました。
ご自宅でも、自室に引き籠ることが減っているそうで、「やっと本来の姿を取り戻してくれて安心しました。」と、
喜びのお声をいただきました。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内