2015年11月11日

性的な発言を繰り返していた本当の理由

もの忘れが増えたことからふるさとへ
奥様と二人暮らしの男性。
以前、ご近所のデイサービスに通われていましたが、
もの忘れなどの症状が増えたことからふるさとをご利用いただくこととなりました。
しかし、しばらくご利用の後、一時入院されることに…。
スタッフはご本人様がお元気になられ、再びふるさとにいらしてくださることを心待ちにしておりました。

女性に関する性的な話題をお話しされるようになった
ご退院後、ふるさとにいらっしゃってくださったのですが、
以前は楽しまれていた歌の時間やレクリエーションにあまり参加されなくなりました。
お席から離れようとされる姿がしばしば見られることもあり、
また、大きな声で言うにははばかれるような話題をお話しされるようになりました。
内容は女性に関する話題が中心で、以前のご本人様からは考えられないような性的な内容でした。
ほとんどの方が顔をしかめるような言葉を、他のお客様の耳にも届くような大きな声でお話しされていましたので、
スタッフは他のお客様に配慮し、個別でご対応させていただくことにしました。

「男同士で盛り上がったり、笑いあったりしたかった」
ある女性スタッフのことを男性だと思われたのか、
「男同士の話をしよう」と、スタッフに声をかけてくださることが度々ありました。
女性スタッフは男性ではないと否定することなく、お話を伺わせていただきました。
はじめのうちは、聞き慣れない言葉に戸惑うこともありましたが、
ご本人様はご冗談のように陽気におっしゃっていましたので、
スタッフは調子を合わせるように微笑みながら相槌を打ちました。
すると、次第にお話の内容が変わっていき、女性に関することよりもご自身に関するお話に。
心の内を打ち明けてくださるようになりました。
ご本人様は素敵な女性をご覧になると、『素敵だな。可愛いな』とお感じになるそうですが、
そのことがきっかけでご自分がご高齢であることを自覚し、とても哀しい気持ちになってしまうとのこと。
さらに、かつての若い頃のように男性同士で盛り上がり、誰かと笑い合ったり気持ちを共有したりしたかったそうです。
お気持ちを知ったスタッフは、今まで以上にスタッフからご本人様へお話しかけるようにしました。
冗談を言い合ったり、面白く可笑しい話でご本人様や周囲の皆様と盛り上がったりできるよう心がけました。

周囲の方を明るくするようなお話をされるように
ご本人様は次第に、女性に関する話題ではないご冗談をおっしゃるようになり、
陽気にお話をして周囲の皆様を笑わせてくださるようになりました。
笑っていらっしゃることが多くなり、少しずつ以前のようにレクリエーションに参加してくださるように…。
時々、スタッフと二人だけでお話をすることがありますが、
その二人でお話をする時間そのものや、共感することがご本人様にとっては大切なようです。
スタッフに、「俺の気持ちを分かってくれた」と、おっしゃってくださいました。
今では、お話は思い出話が中心で、スタッフはお気持ちに共感し、深く相槌を打ちながら伺っております。
ご自宅でも女性に関するお話をされていた時に奥様は、
スタッフのことをとてもご心配なさってくださっていたそうです。
しかし、徐々にご本人様が明るくお話をされるようになり、安心してくださったそう。
お話の時間をつくり、思い出話をスタッフと共有するようになってからは、
ご自宅でも性的な発言が減っているそうです。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内