2023年09月06日

ご本人の拒否の理由を探る…距離感を大切に

1年ほど入浴できず体に湿疹

1人暮らしの80代女性。
認知症の症状の進行に伴い、ご自宅に引きこもりがちの生活に。
1人でお風呂に入ることが難しくなり、1年近く体や髪を洗えていないため
体に湿疹ができていました。
少し離れた場所で暮らしている娘さんが心配してケアマネジャーに相談。
ふるさとにお声がかかりました。

家から出てもらえなかった

ご本人はふるさとの利用契約を受け入れてくださったものの、
朝お迎えに伺うと「体調が悪いから行けない」とおっしゃり、
家から出ていただけませんでした。
玄関のドアは開けてくださいますが、家の中で座り込んでしまい
動いてもらえません。
「こんな病人が行っても邪魔になってしまうし、今度にするわ」と断られ、
利用開始からしばらくは通っていただけませんでした。

何を嫌がっているのか考える

お迎えに伺って断られる…ということを何度か繰り返すうちに
次第にご本人が何を嫌がっておられるかが少しわかってきました。
スタッフが「床に座っていると冷えてしまうので立ちましょうか」とお声かけして、
立ち上がりの介助をお手伝いしようと近づくと、
眉間にしわを寄せて顔をしかめられたので、ご本人は
他人がパーソナルスペースに入ってくることがお嫌なのかもしれないと気づきました。
また、お迎えに伺ってから玄関で雑談をしていると
「そっちの部屋は寝室だから絶対に入らないで」とおっしゃったことや、
グッと距離を縮めてお誘いした場合に、より強く断られることから
自分のスペースに他人が立ち入ることに強い拒否感があると推測されました。

パーソナルスペースに入らない

それからは、ご本人との距離を必ず1メートルはあけて
お声かけをするようにしました。
すると「行ってもいいよ」とおっしゃり、来所していただくことができました。
レクリエーションや体操にも参加してくださいます。
娘さんとケアマネジャーから「湿疹を治したい」と依頼されていたので、
「湿疹の薬を塗りましょう」とお声かけして入浴のお誘いを行うことに。
入浴もできるようになり、薬も塗れるようになったので
娘さんも大変喜んでくださっています。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内