2014年02月12日

刃物に対する強い好奇心、「私を切ってくれ!」

刃物を使って何でも切りたいという願望が強かった
奥様とふたり暮らしの男性。
ご本人は以前から包丁やはさみなど刃物に興味を持ち、何でも切りたいという願望があったそうです。
時間があれば、キッチンから包丁を持ちだしては衣服やタオルを切り、
奥様はいつもその様子を見て、恐怖を感じていました。
ケアマネジャーは、このままでは奥様がストレスを抱えてしまうことを心配し、
認知症の方を専門とした施設であることから、ふるさとをご利用いただくことが決まりました。

「はさみをくれ!どうしても切りたい!」
ふるさとご利用中も、ご本人の刃物に対する興味は変わらず、
周りのスタッフに「はさみをくれ!」と、求めていらっしゃいました。
お昼ごはんが終わると、「家に帰る!」と、靴をお履き替えになるのですが、
いつの間にか「はさみをくれ!この靴を切りたいんだ!」と、再びはさみに向かっていらっしゃいました。
そのまま、はさみをお渡しすることは危険であるため、スタッフははさみをお渡しする代わりに、
「今は他の人がはさみを使っているので少々お待ちください」と、お声かけを行いました。
すると一時的には落ち着かれるのですが、
5分ほど経つと再び「はさみが欲しい!」とスタッフに訴えかけられることが続きました。

願望が満たされないと、切りたい対象物が変化していく
毎回そのような繰り返しが行われる中、ある日衝撃的な出来事が起こりました。
いつものように、はさみを使って「何か」を切りたいというお気持ちが「自分」に向かわれたのです。
「私を切ってくれ!」と、2時間以上スタッフに要求をお続けになりました。
そのうち、1人のスタッフと目が合い、ご本人が「どう?うまく切れた?」とおっしゃるので、
「ばっちり!うまく出来ましたよ!」とお答えすると、「良かったー。ありがとう!」と満足してくださいました。

ご本人のもどかしい思いをふるさとで発散する
ふるさとでは、不可能と思われる要求でも何かしらの形でご本人の願望を満たしていくことが大切であると考えます。
危ないという理由で言動を制限されることは、ご本人にとって大きなストレスとなります。
「話を聞いてくれる」「思いを受け止めてくれる」という場所があることで、
ご自宅での過ごし方が改善されていきますので、そのサポートができるよう日々努めております。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内