2016年10月12日

「切ってほしい」という言葉の本意

早朝から散歩に 送迎の時間にご不在だった
奥様と二人暮らしの男性。
以前から他のデイサービスを利用されていたのですが、認知症が進み、
施設から出られたり、乱暴な言葉を使われたりすることが多くなっていたそうです。
また、朝早くから何時間もご近所を散歩されるようになり、
送迎の時間にご自宅にいらっしゃらないことが増えていたそう。
しかたなくデイサービスを休むことになり、奥様はお困りでした。
ケアマネジャーの紹介でふるさとをご利用いただくこととなりました。

送迎時間を変更できるふるさとへ
スタッフは奥様と相談し、ご主人が散歩から戻られたらご連絡いただき、お迎えに伺うことにしました。
再びデイサービスへ通うようになり、ご主人がふるさとでお過ごしになっている間、
奥様は家事をすることができ、また休息もとれるようになったとのことで、
ケアマネジャーにも喜んでいただきました。

ハサミを持って「切ってくれ」 ご主人の言葉の本意は…?
しかし、ご主人は施設で「なんなんだ、ここは」、「なんだ、あの人は」と、
不快なご表情になることが多く、なかなかリラックスしていただけないご様子でした。
ある日、作品づくりで使っていたハサミを持ち、スタッフに向かって、
身体の一部を「切ってくれ」と言い出されました。
他のお客様に危険がないようハサミをお預りし、個別で対応させていただいたのですが、
何度お話をしても「切ってくれ」とおっしゃることは変わりませんでした。
ふと、そのスタッフが他のお客様の介助でご主人の前を少し離れた時に
ご主人から「どう、できた?」と声をかけられました。
声をかけられたスタッフは、何のことを指しているのかわからなかったのですが、
「ばっちりできました!」と笑顔で返事をしました。
するとご主人は、「はあ、よかったぁ」と大きなため息をついて安堵のご表情になり、
それ以降、「切ってくれ」と言われることがありませんでした。

不安と心配ごとを減らすため 笑顔で肯定的なお返事を
その日の夕方、送迎の際に奥様にお話ししたところ、
以前からご自宅でも「切ってほしい」とおっしゃっていたとのことでした。
不安や心配からくる不快な感情が「切ってくれ」という言葉や行動になっていたのかもしれません。
スタッフとのやり取りの後、ご主人がホッと安堵の様子だったことをお伝えすると、
奥様に安心していただくことができました。
それ以来、ご主人から声をかけられた際は、
スタッフは笑顔で肯定的な返事をするよう心がけております。
ご利用いただくにつれて、快くふるさとでお過ごしいただけるようになり、
ご利用日は散歩に出かけずご自宅で送迎の車を待っていてくださっています。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内