2016年06月08日

気難しい男性が仕事の話で打ち解けて

気難しい性格で介助されることを嫌がっていた
奥様と二人暮らしの男性。
症状が進行し、着替えなどがひとりではできなくなっていました。
すぐそばに住んでいるご長女が普段から手伝いに来られていましたが、
プライドが高く気難しい性格のご本人様は、お世話されることを嫌がっていらしたとのこと。
ご家族様が思い悩み、ケアマネジャーに相談をすると、
認知症の方専門のふるさとを紹介してくださったそうです。

仕事の話題を中心に打ち解けて
スタッフはご利用前の話し合いの中で、ご本人様が仕事熱心な方で、
大きな会社の役員をされていたことを伺っていました。
お仕事の話題を中心にお話しかけさせていただくと、
次第にご本人様は部下の相談にのるような形で、
「頑張りなさいよ」などとスタッフに声をかけてくださるように。
はじめは入浴を遠慮されていたのですが、
半年ほど通っていただくうちに、入られるようになりました。
当初、『デイサービスなんて無理だろう…』と思っていたご家族様は、
通うことができただけでなく、入浴もされるようになったことを、とても喜んでくださいました。

奥様の静止も聞かず ひとりで外へ…
1年ほど経過した頃のある朝、奥様から電話がありました。
その日は週3回のご利用日ではなかったのですが、ご本人様は「ふるさとに行く」と言い出し、
奥様の静止も聞かずに外へ出られてしまいました。
スタッフが慌てて外へ出てみると、ご本人様がこちらへ向かって歩いているのが見えたので、
いつものようにお迎えして昼食とおやつをご提供し、夕方までお過ごしいただくことに。
それからも、ご利用日以外の日にご自分で来られることが何回かあり、
奥様が知らない間に外に出かけてしまうことが増えていました。
そのように外出することが続いていたある雨の日の夜、
たまたまスタッフが施設に残っていたところに、近隣の方から電話がありました。
傘も差さずに濡れながら歩いている人がいたので、不思議に思って声をかけ、
ご自宅で雨宿りをさせてくださったところ、
ポケットにふるさとの電話番号のメモが入っていたのを見つけ、連絡をくださったとのことでした。
偶然が重なり、ご本人様はお怪我もなく無事にご帰宅することができました。

ご長女からの手紙「父の記憶にふるさとでの楽しい日々が加わりました」
しばらくして、ご家族様とケアマネジャーの判断でご本人様は介護施設に入所されることになりました。
お別れを惜しんでいたスタッフに、ご長女からお手紙が届きました。
そこには、スタッフに対するお礼の言葉がたくさん綴られていました。
「父は一度も嫌がることなく、むしろニコニコとしてふるさとさんへ出かけていました。
毎月のお便りで、家では見せることのない笑顔の父を見るたびに感銘を受けました。
父の記憶にふるさとさんでの楽しい日々が加わったこと、どんな言葉をもってしても、
感謝の気持ちを書き尽くすことはできません。本当にありがとうございました」
スタッフ全員で読ませていただいたこのお手紙を、今でも時々読み返すことがあります。
約1年半ほどでしたが、ご本人様と過ごした時間をスタッフは忘れることがありません。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内