2015年09月23日

賑やかな場所が苦手 ご自宅に近い静かな環境を

外に出ることが減り、生活リズムに変化
ひとり暮らしの女性。
ご長女とご長男が県内にお住まいで、時々会いにいらしていたそう。
お食事の支度はおひとりでは不安があるため、
朝と夕方に訪問ヘルパーをご利用されていました。
以前はヘルパーの方と一緒に買い物に出られることもあったそうですが、
その回数が減り、次第にまったく家から出られなくなりました。
昼から夕方頃にかけて寝ていらっしゃることが増え、
生活のリズムに変化が見られていたそう。
このままでは昼夜が逆転してしまうのでは、と心配したケアネジャーが、
デイサービスの利用を勧めたそうです。

毎回10分ほどの訪問 花や木の話題を中心に
ケアマネジャーよりふるさとへご連絡をいただきました。
スタッフはご挨拶のためご自宅へ伺わせていただきましたが、
訪問をあまり快く思っていないことがご本人様のご様子から分かりましたので、
少しだけお話をしてご自宅を後にしました。
それから、週に2回位のペースでお顔を見に伺わせていただきました。
毎回10分ほどの短時間の訪問でしたが、
スタッフの顔を覚えてくださると、少しずつお話しをしてくださるようになりました。
お好きな花や木などについてが毎回の話題の中心でした。
訪問させていただくようになり3ヶ月ほどした頃、
昔よく手入れされていたという庭の木々がお花をつけていました。
「お花が咲いていました。見に行きませんか」とお話しし、
お花をきっかけに、ご本人様は徐々に玄関から外へ出てくださるようになりました。

室内に入られない… 少し離れたソファへご案内
ある日、ふるさとへ来てくださることになり、
送迎車からの景色を楽しみながら施設へと来てくださいました。
しかし、室内に他のお客様がいらっしゃるのをご覧になると中まで入ろうとされず、
玄関近くのスペースにあるソファでスタッフと一緒にお過ごしいただくことになりました。
レクリエーションや体操などを行う際にお誘いをさせていただきましたが、
首を横に振り、ご参加されませんでした。
それからも、他のお客様とは少し離れたソファでスタッフとお話をしたり、
ご本人様のためにとご用意した草木の図鑑を読んだり、
お花の塗り絵をしたりしてお過ごしいただきました。
口数が多くなく、ご自分のことについてお話しにならなかったご本人様ですが、
少しずつ幼い頃の思い出や、育った環境などをお話ししてくださるようになりました。
そこで分かったのは、大きな声が聞こえたり、誰かがせわしなく動いたり、
人がたくさんいるような賑やかな場所はお好きではない、ということでした。

ご自宅と同じように静かで穏やかな環境で
できるだけご自宅に近い環境をふるさとでもご用意させていただきました。
スタッフやお客様の往来があまり気にならない場所に席をご用意し、
お食事後など、特にゆっくりとしたいと思っていらっしゃる時間はソファへご案内しました。
時々、おひとりで集中して読書をされているときは、
スタッフはお話しかけず傍で見守らせていただきました。
ご本人様がふるさとでの時間を快く思ってくださっているとのことで、
それから間もなく週に4回に増回していただくことになりました。
ケアマネジャーが心配していた生活リズムの変化は、
ふるさとでお過ごしいただくことがご本人様の生活の一部になると改善されたそうです。
現在もソファでスタッフとお話をしたり、
毎回静かで穏やかな時間を楽しんでいただいております。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内