2015年08月26日

帰宅願望と粗暴行為 行動の裏にあるのは…?

帰宅願望と粗暴行為
奥様とご長男と三人家族の男性。
ご自宅からすぐ近くのデイサービスを利用されていましたが、
ご利用時間中に施設の外へ出ようとされたり、
乱暴な行動をとるようになっていたそうです。
徐々に施設での対応が困難になり、
ケアマネジャーの紹介でふるさとへいらっしゃることとなりました。

スタッフを多く配置し見守り対応を
施設では、普段より多くのスタッフをフロアに配置するようにしました。
ご本人様がイライラしている様子が見られたらすぐに傍に寄り、
他のお客様へ配慮しながら、見守り対応をさせていただきました。
乱暴な振る舞いがあったとしても、
行動を阻んだり、止めたりはしませんでした。
たとえ荒々しい行動でも、まずは私たちが受け入れることが大事だと考えたからでした。

「お金を払いたい。しかし自分は財布を持っていない」
見守り対応をしばらく続けていたある日、
席をお立ちになったご本人様が、何かを探していらっしゃるように見えました。
お声をかけてみると、やはり何かを探していらっしゃるようです。
スタッフが伺うと、『財布』や『お金』をお探しであるとのこと…。
さらに、もっとよくお話をしてみると、
スタッフへ「お礼をしたい」と思ってくださっているそう。
「お礼にお金を払いたい。しかし、自分は財布を持っていないから、どうしていいのかわからない」
という内容を、ゆっくりと話してくださいました。
スタッフは、ご本人様のお気持ちに丁寧にお礼を言ってから、
心配なさらなくても大丈夫であることを、繰り返しお話しさせていただきました。
次第にお金のことを気にせず、ふるさとでの一日を楽しんでくださるようになると、
ご自分から周りの方々に話しかけ、輪に入られることが増えていきました。

ご自宅での様子に変化 ご趣味の再開にも意欲的に 
半年が過ぎる頃になると、乱暴な行動はまったく見られなくなりました。
ご家族様のお話によると、もともとは大変優しいご性格でいらしたそう。
乱暴な行動について理解できず、変わってしまったことを悲しく思うこともあったそうです。
しかし、スタッフとの会話から、
席を立つのは、財布を取りに行こうと思っての行動で、
「どう伝えたらいいのか、わからない」という困惑が乱暴な行為のもとになっていたことがわかり、
ご本人様の義理堅いお人柄はそのままでいらしたことがわかると、安心してくださいました。

ご本人様は、週2回のご利用日を楽しみにしていてくださり、
朝、ご自宅の前で送迎車を待ち、
お迎えに上がったスタッフに笑顔で手を振ってくださっております。
また、趣味の再開にも、現在、意欲的になっていらっしゃるそうです。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内