2015年05月13日

「母として家事をしたい」というお気持ちに気付いて

冷蔵庫に同じ食材がいくつもあった
ご長男と二人暮らしの女性。
以前よりデイサービスをご利用されていました。
夕方、ご本人様は毎日のようにスーパーへ買い物に行かれていたそうですが、
ご自宅に買い置いてあることを忘れてしまい、毎回同じ食材を買うようになっていたそう。
また、曜日や日付が分からなくなることが増えていたそうで、
普段お仕事でご自宅にいらっしゃらないご長男は、大変心配されていました。
ケアマネジャーは、認知症の方を専門としている施設の利用を検討し、
それまでのデイサービスからふるさとへいらっしゃることとなりました。

はじめはご長男の休日にご利用いただくことに
ふるさとに慣れていただけるまでは、ご長男のお休みの日にご利用いただくこととなり、
ご長男が準備などを手伝ってくださっていました。
ご本人様は、すぐにスタッフと打ち解けてくださり、
施設では楽しそうに歌を歌ったり、レクリエーションに参加されたりしていました。
ケアマネジャーの提案で、ご利用日を増やしていただき、
スタッフはご長男が出勤された後、お迎えに上がることとなりました。
しかし、朝お迎えに上がると、ご本人様は「今日は行けないわ」と、お困りのご表情をされていました。
スタッフがお話を伺うと、洗濯や掃除など家事が済んでいないので出かけられない、とのことです。
しばらくお話をして、「後ほどお迎えに上がりますね」と、スタッフはご自宅を後に。
少し間を置いて、再びお迎えに上がらせていただくと、
今度は快くスタッフを迎え入れてくださり、施設に来ていただくことができました。

「家事は母である自分の仕事」だから
次のご利用日も同様に、「まだ家のことが終わっていないのよ」とおっしゃいましたので、
スタッフは時間を置いて再びお迎えに伺わせていただきました。
家のことはほとんどご長男がしてくださっていましたが、
ご本人様は、母であるご自分がやるべきことと思われているようでした。
ご自身はご自宅でご入浴されなくなり、毎日同じお召し物でお過ごしになられていましたが、
ご長男の洋服は、時々お洗濯をしていらっしゃる様子がありました。
「母として家事をしたい」というお気持ちを察したスタッフは、
朝、ご本人様が「まだ、終わってないから」とおっしゃった時は、
「後でまた来ますね」と、時間を改めてお迎えに上がらせていただくことを続けました。

「大事にしてくれるから嬉しい」とおっしゃってくださった
しばらくの間、二度、三度とご自宅に伺い、来ていただくことを続けていると、
ご本人様は「ここ(ふるさと)の人は、私を大事にしてくれるのが分かる」とおっしゃってくださり、
少しずつ一度目のお迎えで来てくださることが増えていきました。
ご利用開始から2年が過ぎた現在は、身支度をされ、スタッフを待っていてくださることが多くなりました。
施設では、いつも笑顔でお過ごしいただいており、
「ご長男が『安心してお仕事に行けるようになった』と喜んでいました」と、
ケアマネジャーから嬉しいご連絡をいただきました。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 川崎市内