2014年10月29日

干渉されるのが嫌 どんなお声かけも聞き入れていただけなかった

奥様は毎日の介護が大変で…
奥様と長女と三人暮らしの男性。
奥様はお身体が不自由で毎日の介護が大変になってきていたそうですが、
お仕事をされている長女は、日中ご自宅にいらっしゃる時間はほとんどなかったそうです。
「奥様が大変なので、デイサービスを利用してはどうか」とケアマネジャーからの提案があり、
ふるさとを利用してくださることになりました。

どんなお声かけにも「いやだ」「面倒くさい」
ふるさとでは皆様に大きなテーブルでお顔を合わせてお過ごしいただいていますが、
ご本人様は目の前にいらっしゃる方に向かって、
「何を見ているんだ!」「なぜ笑ったんだ!」と大きな声を出されることが続きました。
そこで、少しだけ離れたところにご本人様専用のテーブルをご用意し、個別で対応させていただきましたが、
いつもぶっきらぼうで口数少なく、不機嫌なご様子でした。
少しでも楽しい気分でお過ごしいただきたいと思い、レクリエーションやゲームにお誘いいたしましたが、
「いやだ」「面倒くさい」とお断りされてしまうことがほとんど。
また、手洗いや歯磨きなどで席をお立ちいただくことを強く拒否されていました。
「○○様。洗面台が空いておりますので、今のうちに手を洗いませんか?」、
「奥様から歯磨きをしていただくようお願いされましたので、一緒に歯磨きをしませんか?」などと、
様々な方法でお声をかけさせていただきましたが、「うるさい!」と声を荒げておっしゃられるばかりでした。

話しかけられることが干渉されているように感じているのでは?
清潔にすることはお好きで、昔からの日常の習慣はきちんと守っていらっしゃるご本人様を見て、
「食事前に手を洗うことはご存じで、お嫌いではないはず…」と思っていたスタッフ。
どんなお声かけも聞き入れてくださらない様子から、
スタッフに話しかけられることが、干渉されているように感じられているのではないか、と思いました。
そこで、簡潔に「お食事です」と、一言お伝えするだけにしてみてはどうかと考え、
「もうすぐ、お食事です」と、ゆっくり簡潔にお伝えし、静かに見守らせていただきました。
すると、自ら席を立ち洗面台に向かわれ、手を洗ってくださるようになりました。
また、お食事後も「○○様の歯ブラシです」とお渡しし、スタッフが後ろに下がると、丁寧に歯を磨いてくだるように。
それからは、スタッフ全員でお声かけや接し方を改め、はっきりと簡潔にお伝えさせていただくようにいたしました。

送迎時いつもご自宅付近で「ありがとうございます」
静かに見守ることを心がけて接すると、ご本人様は「必要以上に干渉されない」と安心してくださったのでしょうか。
以前は嫌がられていた対面した席でも、一声かけるとスタッフが座ることを受け入れてくださるように。
時々、レクリエーションにも参加してくださるようになり、声を荒げることなく穏やかにお過ごしいただいています。
ふるさとにいらしてくださるようになり、5年が経ちました。
以前より変わらず口数少な目のご本人様ですが、お送りする際、角を曲がりご自宅付近の路地に入ると、
小さなお声で「ありがとうございます」と、おっしゃってくださいます。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 横浜市内