2013年10月30日

入浴への思い、意見がすれ違うご本人とご家族様

入浴は必要ないと感じるご本人、入浴して欲しいと願うご家族
奥様と二人暮らしの男性。
ご本人は主張が強く、意見が通らないときは、大きな声を出すことも多くあったそうです。
特にご自宅でのお風呂の際、「必要ない」と言って奥様の腕や肩を叩いて嫌がり、
入浴ができない状況が続きました。
奥様はひとりで介護することに限界を感じ、ケアマネジャーに相談すると、
入浴が苦手だった方も、ふるさとでは入浴に応じてくださるケースが多いことから、
ふるさとのご利用が決まりました。

スタッフ3人で入浴のお手伝いをした
ふるさとにいらっしゃってからも、「こんなところに連れてきおって!」と、落ち着かないご様子でしたが、
利用時間の最後まで居てくださいました。
それから1週間も経たないうちに、ご家族様より電話をいただき、
「どのような方法でも良いから、次はお風呂に入って欲しい。」と、ご希望がありました。
次にいらっしゃった日、さっそく入浴へご案内すると、「ばかやろー!」「何をするんだ!」と、
大きな声を出して嫌がりました。
3人で入浴のお手伝いをし、最後にはお風呂に入ってくださいましたが、
スタッフやご家族様に対して不信感を抱くようになりました。

入浴の対応について施設内で話し合った
数名のスタッフから「今回はご本人のお気持ちに寄り添った対応ではなかった」という意見があがり、
話し合いを行いました。
その結果、次回のご利用日は、他のお客様から少し離れた場所に座っていただき、
専任のスタッフがご対応し、ご本人が安心して過ごせる空間をご提供することになりました。
入浴の時間も、すぐにお風呂をご案内するのではなく、まずは足浴を楽しんでいただいて、
お風呂という空間が居心地の良い場所であることを少しずつ知っていただくことから始めました。
この日は入浴していただくことはできませんでしたが、そのスタッフに信頼を寄せてくださり、
お声かけに応じてくださる時間が多くなっていきました。

ご本人の意思で入浴をしていただいた
その次にふるさとにいらっしゃったとき、前回と同じように足浴にご案内すると、
膝を擦る仕草をしていらっしゃったので、「湯船でお膝を温めましょうか?」と伺いました。
すると、衣服を脱ぐ動作を始めたので、スタッフがお手伝いをすると、
そのまま入浴に応じてくださいました。
現在も、レクリエーションへの参加は難しい状況ですが、
いつもの専任スタッフがご本人の横にいる場合、他のお客様やスタッフとの会話を楽しんでくださり、
冗談を言っておどけた表情を見せてくださるなど、ふるさとでの時間を楽しんでいただいております。
ご入浴も毎回受け入れてくださるので、ご自宅で入浴する必要がなくなり、
奥様から、「気持ちが楽になりました。」と、お喜びの声をいただきました。
ふるさとの願いである「ご本人にとってもご家族様にとってもふるさとが居心地の良い場所」が実現したとき、
わたしたちスタッフも大きな喜びを感じます。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 川崎市内