2016年12月28日

入浴拒否の荒い言動も素直な感情表現だった

自宅でもデイサービスでも入浴しなくなり衛生状態が悪化
ご長男夫婦とお住まいの女性。
近所のデイサービスへ通っていたのですが、
利用中に施設を抜け出し、ひとりで自宅へ帰ってしまうことがあったそうです。
また、自宅でも施設でも入浴されなくなり、訪問入浴サービスを利用したのですが、
強い拒否があり一度も入浴できなかったそうです。
洋服も下着も取り替えない日が続き、衛生状態が悪化していました。
ケアマネジャーがご家族様へ認知症の方専門で個別対応が可能なふるさとを勧め、
週3回ご利用いただくこととなりました。

入浴へ誘うと手が出ることもあった
ふるさとでは、おひとりずつご入浴いただいており、
はじめは拒否のあった方でもお誘いするうちに受け入れ、
入浴を楽しんでいただけるケースが多くありました。
ご本人様に好きな歌を一緒にうたうなどして楽しい気分でご案内したのですが、
なかなか快く入浴していただくことができませんでした。
スタッフが「お風呂はいかがですか?」と声をかけると、
「家で入っているわよ!」と怒り出し、引っ掻いたり、叩いたりすることもありました。

快く入浴していただけた日と拒否された日の違い
ある日いつものように入浴へお誘いすると、
まったく嫌がられることなく入っていただくことができました。
それどころか湯舟にゆっくりと浸かり、「気持ちいいわ」と笑顔になり、
サッパリとした後に「どうもありがとう」とていねいにお礼を言ってくださいました。
しかし、その次の利用日に同じようにご案内しても、以前のように嫌がられてしまい、
入っていただくことができませんでした。
何か違うのだろうかと、フロアでのご様子をよく見ていると、
その日はいつもより怒りっぽいことに気付きました。
さらによく見てみると、他の方々が穏やかだとご本人様も穏やかに、
誰かが不快な表情をしていると、怒りっぽくなっていました。
ほとんどの時間をスタッフが一対一で対応していたのですが、
周りの皆様の雰囲気を敏感に感じていたようです。
それに気付いてからは周囲が和やかな時間に誘うようにしました。

素直な感情表現に周囲から好感を持たれて 
以来ご利用日は、毎回とはいかないまでも入浴されるようになり、
ご家族様にたいへん喜んでいただくことができました。
また、風船バレーのような皆様で楽しめるレクリエーションには積極的に参加していただき、
楽しい時間を共有するようにしました。
楽しいときは思いきり楽しそうに、不快なときはとても不快そうに、
感情を素直に表現されるご本人様は、周りの方から好感をもたれるように。
通っていただくうちに他のお客様とも打ち解けられ、
「以前のように途中で帰ってくることがないので、
ご家族様が安心して仕事に行けると言っていましたよ」と
ケアマネジャーから嬉しいお言葉をいただきました。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 川崎市内