2014年10月01日

杖は歩行のためだけではありませんでした

杖を振り回され威圧的な言動をとられていたご本人様
奥様とお嬢様と三人暮らしの男性のお客様。
他のデイサービスに通われていましたが、施設では乱暴な言葉を使われていて、
威圧的な態度で杖を振り回すこともあったそうです。
特にトイレやご入浴は、お声をかけただけで怒りをあらわに、強い拒否を示されていたそう。
ご利用を拒まれ、お休みされることもしばしばあったそうです。
ご本人様はプライドが高く、指示されるようなことが大変お嫌いで、
排泄の介助や尿漏れパッドの交換を受け入れてくださるのは、奥様のみ。
ご自宅でのご入浴は、訪問ヘルパーの方と奥様で介助をされ、シャワーのみだったそうです。
奥様の体力にも限度があり、とても疲労されていました。
困られたケアマネジャーより、ふるさとにご連絡がありました。

ご不安を抱えていらっしゃるから、手から杖を離さずにいるのかも…?
施設では、ご本人様に来ていただく前にスタッフ同士の会議が行われ、
どうお声かけをしたら拒否なくお手洗いやご入浴をしていただけるだろうか、と話し合いました。
特に、杖を振り回されることは、ご本人様にとっても他のお客様にとっても大変危険です。
どうしたら嫌がられずに受け入れてくださるだろうか、と皆で考えました。
「ご本人様は何かご不安を抱えていらっしゃるから、いつも手から杖を離さずにいるのかもしれない」と考えたスタッフ。
まずはご不安を取り除くようお声かけをし、安心して過ごしていただくことが大切だと話しました。
施設では、お手を取ってご案内してみてはどうだろうか、と提案しました。

傍に寄りしっかりと手を取り身体をお支えした
初めて施設に来ていただいた日。
ご本人様は杖を使われていましたが、スタッフは傍に寄り、しっかりと手を取り身体をお支えしました。
ご着席いただいてから、杖をお預かりしても大丈夫かどうか、
歩かれるときはスタッフが必ず身体をお支えすることを、丁寧にご説明いたしました。
すると、安心してくださったのかご本人様はスタッフに杖を預けてくださいました。
それからは、とても朗らかなご表情で、時に冗談を交えながら饒舌にお話をされ、
スタッフとの会話を楽しんでくださっている様子でした。
また、「一緒にトイレに行きませんか?」とお誘いしたところ、快く受け入れてくださりました。
さらに、ご入浴のお声かけにも嫌なお顔をされることなく、ご入浴していただくことができました。

「拒否を示していたのがうそのよう」と驚かれた
ご本人様の様子を、施設に見に来られたケアマネジャー。
ご入浴されたことを知り、「あんなに拒否を示していたのが、うそのようです」と、驚かれていました。
また、ご家族様も大変喜んでくださり、お礼の言葉をいただきました。
現在週3回のご利用で、お休みされることなくふるさとにいらっしゃってくださいます。
それからも拒否はなく、ご本人様に清潔に、また穏やかに過ごしていただくことができています。

認知症対応型通所介護施設 デイサービスふるさと 川崎市内